飲食店のダイナミック・プライシングとは?導入のメリットと注意点を解説

ダイナミック・プライシングとは、商品やサービスの需要と供給の状況に応じて、価格を変動させる仕組みです。ピークの分散や、時間などに応じた最適価格の設定が行えるため、利益を最大化するための施策として、「飲食店」でも活用されています。

ダイナミック・プライシングとは

【意味・定義】ダイナミック・プライシングとは

ダイナミック・プライシングとは、商品やサービスの需要と供給の状況に応じて、価格を変動させる仕組みをいう。

ダイナミック・プライシングとは、商品やサービスの需要と供給の状況に応じて、価格を変動させる仕組みです。

ダイナミック・プライシングとは
(ダイナミック・プライシングのイメージ図。固定価格で機会損失がある部分が、価格の変動によって、売上になる)

需要が強い時期・時間帯の料金を引き上げ、需要が弱いときの料金を引き下げることで、ピークの分散に役立ちます。さらに、時期や時間などに応じた最適価格の設定により、利益の最大化を目指します。

飲食業界でダイナミック・プライシングの導入が注目されている理由

飲食業界でダイナミック・プライシングの導入が注目されている理由
飲食業界では、大きく3つの理由によって、ダイナミック・プライシングが注目されています。

飲食業界でダイナミック・プライシングが注目されている理由
  • 飲食需要に対して、飲食店の店舗数・テーブル数・スタッフ数が少ない
  • 新型コロナウィルス後のライフスタイルの変更により、飲食店のピーク時間が変わる
  • 原材料価格が高騰している

飲食業界ではこれらの背景を理由に、「新たなライフスタイルに適応した店舗経営」と「原材料価格の高騰にも耐えうる価格設定」による、利益の最大化につながる仕組みの導入が、急務となっています。

ダイナミック・プライシングは、以下の特徴を持ち合わせた、利益を最大化するための仕組みです。

飲食店におけるダイナミック・プライシングの特徴
  • 需要が高い時間帯に価格を上げることで、顧客単価を高める
  • 需要が低い時間帯に価格を下げることで、来店数を高める

ダイナミック・プライシングは、飲食業界の抱える課題や状況にマッチします。さらに、飲食店では、一日の中で繁忙時間/閑散時間が複数回あるため、ダイナミック・プライシングのメリットが、活かしやすい業界なのです。

そのため、ダイナミック・プライシングの仕組みの導入が、注目されています。

ダイナミック・プライシングが利用できる「オーダーアール」

オーダーアールは、「初期費用0円」「月額費用0円」から利用できるセルフオーダーシステムです。
ダイナミック・プライシングなどの充実した機能を兼ね備え、「低価格」で「手軽」に利用開始できることが特徴です。

ダイナミック・プライシングが用いられている業界事例

もう少しダイナミック・プライシングについてご説明していきましょう。

ダイナミック・プライシングは、私たちの生活に馴染みがあるものから、最近新たに導入されてきた業界まで、幅広い事例があります。

身近なダイナミック・プライシングの活用例

身近なダイナミックプライシング

ホテルの宿泊予約は、みなさんに馴染みがあるダイナミック・プライシングの例でしょう。ゴールデンウィークや夏休みなどの旅行シーズンは、ホテル予約の需要が増すため、予約価格が通常よりも高くなります。金額を抑えたい場合は、繁忙期を避けて予約を行うユーザーもいます。このように、価格を変動させることで、需要の調整をおこないます。

航空券の予約も、ダイナミック・プライシングが用いられています。ホテルの宿泊予約と同様に、旅行シーズンなどの繁忙期には価格が高く設定されます。さらに、出発時間に合わせて、価格が細かく変動します。例えば、早朝や夜遅くに出発する便は、需要が低くなる傾向にある為、比較的価格が安くなります。価格の安さを優先し、時間帯をずらして航空券を購入する場合もあるでしょう。このように、需要を調整することで、なるべく搭乗率の高い状態を作り出しています。

テーマパークでも、繁忙期である休日や連休と、閑散期である平日などの入場料に違いを持たせることで、入場者数を調整し、一定の混雑状況になるよう設計されています。

このように、繁忙期・閑散期で価格の設定を変更する業界やサービスは、私たちの身近で行われてきました。

最近のダイナミック・プライシングの導入事例

最近のダイナミック・プライシングの導入事例

ITの活用により、ダイナミック・プライシングを取り入れた業界が増えてきました。いくつかご紹介します。

音楽ライブチケットでは、チケットの売れ行きに応じた価格の適正化が始まっています。例えば、自分が選んだ座席を選択すると、需給のバランスを踏まえた、その時点での適正価格が表示されるような仕組みが用いられています。

Jリーグなどのスポーツチケットでも、一部の試合において、チケットの売れ行きや天候などに応じた、価格設定が行われています。これにより、チケット収入や入場者数の増加に繋がったという結果があります。

大手ECサイトでは、一日の中で商品価格の変動が何度も行われたり、カートに入れた後も価格が変動することもあるほど、需給の状況に合わせた細かな価格調整の仕組みが採用されています。

美容室においては、お店が混雑する曜日や時間の価格を高くし、比較的余裕がある平日や時間に予約を分散することで、予約の埋まり具合を平準化しながら、利益の最大化を目指しています。

飲食店でのダイナミック・プライシングの導入事例

飲食店においても、ダイナミック・プライシングの導入が行われています。事例をご紹介します。

ハッピーアワーはドリンクを安くする

飲食店のダイナミック・プライシングとは?導入のメリットと注意点を解説

ハッピーアワーとは、レストランや居酒屋などの飲食店において、ビールや酎ハイなどのアルコール類を割引する仕組みです。

17:00-19:00までは、ビールや酎ハイの価格が300円!という、居酒屋やファミレスを見かけた方も少なくないでしょう。

客数が少ないアイドルタイムに、ドリンクの価格を低くすることで、利用客の増加を目指します。

ランチタイムの混雑緩和のために時間帯で価格を変動させる

ランチタイムは、飲食店の中でもピークが集中する時間帯です。一般的には、12:00-13:00をお昼休みとしている会社も多く、この時間帯に需要が集中し、混雑をうみます。

ランチタイムの混雑緩和のために時間帯で価格を変動させる
出典:宿泊業・飲食サービス業への新型コロナの影響をどう軽減すべきか?

新型コロナウィルスの感染拡大の防止のため、密集を避けることが推奨されている中で、混雑はお客さんにとっても不安要素となります。

そこで、需要を調整するために、ランチタイムの時間帯を30分や1時間などで区切り、価格を変動する仕組みを取り入れた定食屋があります。

12:00-13:00の最も利用者数が多い時間帯は価格を最も高く設定し、それ以外の時間帯においても、時間枠ごとに価格を変動させます。

座席数を減らすことで密集を避けるのではなく、価格の変動により混雑の緩和を行うため、利益の確保にも貢献します。

飲食店におけるダイナミック・プライシングの特徴とメリット

飲食店におけるダイナミック・プライシングには、以下の特徴があります。

飲食店におけるダイナミック・プライシングの特徴
  • 需要が高い時間帯に価格を上げることで、顧客単価を高める
  • 需要が低い時間帯に価格を下げることで、来店数を高める

飲食店において、ピークを分散しサービス需要を平準化することは、利益UPにもつながる施策の一つです。

飲食店でダイナミック・プライシングを導入することでの、飲食店側とお客さん側のメリットをそれぞれ説明していきます。

飲食店側のメリット

飲食店の3つのメリット
  • 【メリット1】ピークを分散することで、オペレーションをスムーズにする
  • 【メリット2】来店数が少ない時間帯の集客につなげる
  • 【メリット3】利益の向上につなげる

それぞれのメリットを説明します。

【メリット1】ピークを分散することで、オペレーションをスムーズにする

混雑する時間帯の需要を分散ことで、オペレーションをスムーズにすることが期待できます。

店内で働くスタッフの数やテーブル数は限られています。そのため、来店数が時間によって大きく変動するランチタイムなどに、人員やテーブル数を細かく増減することは困難です。

価格を上げることで、ランチタイムの混雑時間の分散につながります。そうすると、注文受けや調理のスタッフの対応業務の極端な偏りが緩和され、スムーズな食事の提供につながるでしょう。

【メリット2】来店数が少ない時間帯の集客につなげる

来店数が少ない時間帯の価格を低めに設定することで、今まで呼びこめていなかった層の集客も見込めます。

例えば、ファミレスなどで行われているハッピーアワーでは、平日の日中のアルコール飲料が200円や300円で提供されているケースがあります。

仕事が早く終わった際、すぐに帰宅していた層などが、ハッピーアワーをきっかけに来店することで、今まで集客できていなかったユーザーの集客につながります。

【メリット3】利益の向上につなげる

先ほど、ダイナミック・プライシングの特徴として、以下をご紹介しました。

飲食店におけるダイナミック・プライシングの特徴
  • 需要が高い時間帯に価格を上げることで、顧客単価を高める
  • 需要が低い時間帯に価格を下げることで、来店数を高める

需要が高い時間は価格を上げることで「価格が高くても来店する層」の購買が獲得でき、顧客単価が上がります。さらに、需要が低い時間帯は価格を下げることで、「価格が安くて来店する層」の集客につながり、時間単位の売上の向上が期待できます。

お客さん側のメリット

お客さん側の3つのメリット
  • 【メリット1】混雑が緩和されることで、密集を避けられる
  • 【メリット2】混雑が緩和されることで、待ち時間を減らせる
  • 【メリット3】来店時間を調整することで、安く利用できる

それぞれのメリットを説明します。

【メリット1】混雑が緩和されることで、密集を避けられる

混雑時の価格が高く設定されることで、来店数が抑えられるため、混雑の緩和が期待できます。

新型コロナウィルスの感染拡大の防止のため、密集を避けることが推奨されています。混雑の緩和は、お客さんにとっても、安心して食事ができるメリットになります。

【メリット2】混雑が緩和されることで、待ち時間を減らせる

混雑の緩和は、密集の回避だけでなく、待ち時間を減らすことにもなります。

例えば、ランチの混雑時は行列ができたり、店内に入っても食事の提供までに時間がかかることも、しばしばあります。

混雑の緩和により、待ち時間を減らして、快適にランチの時間を過ごすことにもつながるでしょう。

【メリット3】来店時間を調整することで、安く利用できる

お客さんによっては、お得に利用できる時間帯を選んで、来店することができます。

テレワークが普及してきたり、働き方が多様になっている現状では、休憩時間や就業時間を柔軟に調整できるケースも増えてきました。

そういう方にとっては、混雑している時間帯を避け、オフピーク時に安く飲食店を利用できることは大きなメリットとなります。

飲食店でダイナミック・プライシングを導入する際の注意点

飲食店におけるダイナミック・プライシングの導入では、以下の点に注意が必要です。

飲食店のダイナミック・プライシング導入時の4つの注意点
  • お客さんとの信頼関係が築けていること
  • 変動させる価格の方針を決めること
  • 最適価格にするためにデータを蓄積し調整すること
  • 注文・会計が複雑になりすぎないこと

それぞれ説明していきます。

【注意点1】お客さんとの信頼関係が築けていること

ダイナミック・プライシングを取り入れることで、以下の2点によって、顧客離れが起きてしまうケースがあります。

  • 「利益を優先させる企業」というイメージになり、不信感につながる可能性がある。
  • 混雑ピークの時間帯に利用する場合、価格が上がることによって、お客さんが他店に流れてしまう可能性がある。

これを防ぐためには、混雑緩和を行うことはお客さんにとってもメリットがあることを説明できる関係性が築けていることが重要です。そして、ダイナミック・プライシングの仕組みを取り入れても、そのお店に来店したいと思ってくれる根強い常連客がいることも前提となるでしょう。

【注意点2】変動させる価格の方針を決めること

ダイナミック・プライシングを導入する際は、以下の点を考慮して方針を決める必要があります。

ダイナミック・プライシングの方針を決める際の考慮点
  • どのメニューの価格を変動させるのか
  • どの時間帯で価格を変動させるのか
  • 各時間帯において、価格をいくらに設定するのか

一部のメニューだけ価格を変動させる場合は、その他のメニューの売上にも影響を及ぼす可能性があります。そのため、どのメニューを変動させるのかは注意が必要です。

また、セットメニューなどを提供している場合には、セットになる商品が変動の対象なのかにもよって、価格の整合性を取る必要があります。

【注意点3】最適価格にするためにデータを蓄積し調整すること

ダイナミック・プライシングの導入時には、どの価格設定が最適なのかを判断するためのデータがありません。

まずは、仮説を立てて価格を設定し、運用を開始します。ダイナミック・プライシングの導入によって、客の入り状況の変化をデータで蓄積することが重要です。

そして、蓄積したデータを元に、必要に応じて価格を調整しながら、利益を増大させる最適な価格設定を目指しましょう。

【注意点4】注文・会計が、複雑になりすぎないこと

ダイナミック・プライシングを導入する場合、お客さんの注文時や会計時に、設定した値段が正しく反映されている必要があります。

飲食店は、いわゆる「明朗会計」であることが重要です。

変動するメニューが1種類など限定的な場合は、時間帯に応じたメニューを別途作成したり、注文時にもスタッフが案内を行うだけで良いかもしれません。

しかし、複数のメニューの価格が変動する場合は、時間ごとのメニューを作成したり、スタッフが逐一説明をする手間を取るのは現実的ではないでしょう。

また、会計時にも、来店の時間に合わせた価格で金額を計算する必要があります。これらを手動で対応する場合、レジの打ち間違いや計算ミスなどが発生する可能性があります。

このように、値段の変動によっておこる注文の煩雑さや、オペレーションミスを防ぐためには、ダイナミック・プライシングの仕組みを提供しているオーダーシステムやPOSシステムを利用することが望ましいでしょう。

飲食店でダイナミック・プライシングを導入するならオーダーアール

弊社が提供する「オーダーアール」は、ダイナミック・プライシングの仕組みを提供するモバイルオーダー(セルフオーダー)システムです。

補足:モバイルオーダーシステムについて

【意味・定義】モバイルオーダーとは

モバイルオーダーとは、利用客のスマホやタブレットなどのモバイル端末から、商品の注文や支払いを行う方法をいう。同義語・類義語として、スマホオーダーと呼ばれることもある。

飲食店におけるモバイルオーダーシステムの特徴は、お客さん自身が注文を行うため、接客の時間を減らして店舗運営を効率化できることです。

モバイルオーダーシステムの詳細については、「モバイルオーダーとは?飲食店で導入するメリット・デメリットと事例を紹介」をご覧ください。

モバイルオーダーとは?飲食店で導入するメリット・デメリットと事例を紹介

オーダーアールのダイナミック・プライシングの仕組み

オーダーアールは、ダイナミック・プライシングの仕組みも提供しています。

オーダーアールのダイナミック・プライシングの仕組み
  • 時間帯によって、商品の値段を設定できる
  • お客さんの入り状況(席の埋まり数)によって、商品の値段を設定できる

オーダーアールの管理画面で、「時間帯」と「お客さんの入り状況」に応じた商品価格をあらかじめ設定しておきます。

お客さんが自分のスマホでメニューを閲覧した時に、設定内容に応じた価格が自動で表示されます。

レジで支払いをする場合にも、設定した金額が反映されるため、会計時に時間がかかるということもありません。

オーダーアールは、初期費用0円、月額費用0円から利用できるモバイルオーダーシステムです。ダイナミック・プライシングなどの、充実した機能を兼ね備え、「低価格」で「手軽」に利用開始できることが特徴です。

ダイナミック・プライシングを用いて、利益の最大化を目指したい飲食店の方は、以下のリンクから「オーダーアール」をチェック!

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