飲食店の開業に必要な資金と準備・調達方法をわかりやすく解説

飲食店の開業にかかる費用は、1,000万円前後と言われています。内訳は、「物件の取得費(補償金・敷金・礼金・保証金など)」「内装・外装工事、厨房設備費」「什器・備品、オーダーシステム」「(賃貸物件の場合)物件の賃料・家賃」「運転資金」です。

この記事では、飲食店の開業に必要な資金と、その調達方法について、わかりやすく説明していきます。

飲食店の開業資金はどれぐらい?いくらかかる?

飲食店の開業に必要な資金

飲食店の開業にかかる費用は、1,000万円前後と言われている。ただし、自社所有物件か賃貸物件か、お店の立地、お店の広さ、居抜き物件かどうかによって、費用は大きく変わる。

一般的に、飲食店の開業にかかる費用は、1,000万円前後と言われています。

飲食店の開業資金の内訳は?

飲食店の開業にかかる費用の内訳は以下です。

飲食店開業にかかる費用の内訳
    1. 物件の取得費(補償金・敷金・礼金・保証金など)
    2. 内装・外装工事、厨房設備費
    3. 什器・備品、オーダーシステム
    4. (賃貸物件の場合)物件の賃料・家賃
    5. 運転資金

この中で、主に「1. 物件の取得費」「2. 内装・外装工事、厨房設備費」が費用の大きな部分を占めます。ということは、お店の立地、お店の広さ、居抜き物件かどうかによって、費用は大きく変わります。

オーナー一人で運営するお店や、持ち帰り専門店などの小さな店舗の場合は費用を抑えられることもありますし、逆に、賃料が高い地域や、比較的広めの店舗を確保する場合には、さらに費用がかかってきます。

ケースによって変動するため、あくまでも1,000万円の開業費用は目安に考えてください。

それでは、内訳の詳細をご説明していきます。

賃貸物件の取得にかかる費用

賃貸物件を取得する場合、以下の費用が含まれます。

物件取得費の内訳
  • 保証金
  • 礼金
  • 仲介手数料
  • 前家賃

店舗物件の保証金は、家賃の10ヶ月程度が相場と言われています。物件によっては、20ヶ月分と高額になる場合もあれば、6,7ヶ月分などに抑えられる場合もあります。

礼金は家賃の1-3ヶ月と言われていますが、こちらも物件によっては6ヶ月分になる場合があるなど、ケースバイケースで異なります。

仲介手数料は、家賃の1ヶ月分と考えておけば良いでしょう。

前家賃は契約時に必要な、翌月分の家賃の前払金です。契約月と翌月分を支払うことが多いですが、場合によっては3ヶ月まとめて支払うケースもあります。

例えば、10坪ほどの小さなカフェ(座席数が10席)を開業しようと考えた場合、家賃20万円を相場の費用で借りたと想定します。その場合の見積もりは以下になり、合計300万円が必要です。

約10坪のカフェの見積もり例
  • 保証金:20万× 10ヶ月 = 200万
  • 礼金: 20万× 2ヶ月 = 40万
  • 仲介手数料:20万 × 1ヶ月 = 20万
  • 前家賃:20万 × 2ヶ月 = 40万

内装・外装工事、厨房設備費

内装・外装工事や厨房設備費は、

  • 新装なのか(一坪30−50万目安)
  • 改装なのか(一坪20−30万目安)
  • 厨房設備費は何が必要か

によって大きく変わります。

先ほどと同様、あくまでも一例となりますが、10坪ほどのカフェを改装しようと思うと、合計350万円となります。

約10坪のカフェの見積もり例
  • 内装・外装工事:250万
  • 厨房設備費:100万

以上のように、賃貸物件で飲食店の開業を想定した場合、物件の取得、内装・外装工事、厨房設備費で、開業資金の50~60%程度を占めることとなります。

什器・備品、オーダーシステム

店内の内装が整った後に、店内で使用する食器や調理道具、テーブルや椅子などを用意していきます。什器・備品は、新品や中古を購入する場合が多いですが、一部の高価な什器に関しては、リースをすることで初期費用を抑えて用意できます。

さらに、どのようなオーダーシステムを利用するかによっても、費用が変わります。弊社が提供する「オーダーアール」など、0円から利用できるサービスなどもあります。

予算やコンセプトに合わせて選択していきましょう。

運転資金

運転資金は、毎月必要になる費用のことで、以下のような内訳になります。

運転資金の内訳の例
  • 家賃
  • 光熱費
  • 人件費
  • 食材費
  • 広告・システム費

一般的に、開業後、軌道に乗り始めるまでには6ヶ月ほどかかると言われています。売り上げがなくても運営できるように、運転資金を6ヶ月は用意しておきましょう。

補足:生活費もお忘れなく

飲食店の開業や準備に必要な資金の他に、あなたの生活費も必要です。

もし6ヶ月間売り上げがなかったとしても、問題なく生活していけるだけの費用も忘れずに確保しておくようにしましょう。

飲食店の開業資金をシミュレーションしよう

これまでの費用を全て含めて、開業資金としていくら必要になるのか、シミュレーションしてみましょう。

10坪のカフェを新装するとした場合の一例

物件の取得費 費用 備考
保証金 2,000,000円 20万の物件。10ヶ月分
礼金 400,000円 2ヶ月分
仲介手数料 200,000円 1ヶ月分
前家賃 400,000円 2ヶ月分
内装・外装工事、厨房設備費 費用 備考
内装・外装工事 2,500,000円 改装を想定
厨房設備費 1,000,000円
什器・備品、オーダーシステム 費用 備考
什器 300,000円
備品 100,000円
オーダーシステム 0円 オーダーアールを想定
その他 100,000円
運転資金 費用 備考(6ヶ月分)
家賃 800,000円 前家賃除いた4ヶ月分
光熱費 800,000円 約13万/月
人件費 1,200,000円 20万×1名雇った場合
食材費 2,400,000円
広告・システム費 300,000円
その他 100,000円
合計 12,600,000円

飲食店の開業に必要な資金の準備方法

次に、飲食店の開業に必要な資金の準備方法について説明していきます。

一般的に、資金は以下の3つの方法で調達されることが多いでしょう。

飲食店開設資金の調達先
  • 金融機関等
  • 自己資金
  • 親族

飲食店開設資金の調達先

自己資金

自己資金は多ければ多いほど良いですが、すべてを自己資金で準備するのは現実的ではないでしょう。

先ほどの日本政策金融公庫の調達先のデータを参考にすると、自己資金は開業に必要な資金の27%となる、305万円となっています。

3割を目安に、自己資金を準備しておくと良いでしょう。

「飲食店の開業資金がゼロ」は可能か?

「自己資金がゼロでも、金融機関(主に日本政策金融公庫)から融資を受けられる!」という話を聞かれた方もいるかもしれません。

可能性が無いとは言えませんが、3割ほどの自己資金を準備されている方が多いのが現実です。自己資金がゼロの場合は、融資の審査に通過するのは難しいでしょう。

日本政策金融公庫の融資・調達

飲食店の開業において、融資を受ける先として一般的な金融機関は「日本政策金融公庫」です。

銀行(特に都市銀行)や信用金庫・信用組合などは、経営の実績がない限り、融資をしてもらうことが困難です。このため、すでに別に事業をしていて飲食店の経営に参入する場合や、信用保証協会からの制度融資を受けられる場合などを除くと、これらの金融機関からの融資は現実的ではありません。

一方で、経営実績がない方にも門戸を開いているのが、政府系の金融機関である日本政策金融公庫です。

【意味・定義】日本政策金融公庫とは

日本政策金融公庫は、民間金融機関の取組みを補完し、事業に取組む方々等を支援する政策金融機関(いわゆる「政府系金融機関」のひとつ)。金利の低さと、経営の実績がない創業時や、中小企業・小規模事業者の方にも対応しているのが特徴。

補足:個人事業者でも日本政策金融公庫から融資を受けられる?

個人事業者や小規模企業でも、融資に対応しています。

ただし、誰でも融資を受けられるわけではなく、しっかりとした創業計画が立てられているのかが、厳しく審査されます。

資金計画や仕入れ先、自己資金の準備や売上予測など、計画を練っておく必要があります。

創業計画の立て方については、日本政策金融公庫の創業計画Q&Aも参考にしてください。

融資の申し込みのタイミングは?

融資の申し込みは、創業直後に行われると良いでしょう。創業時に融資を申し込むことで、創業計画のみで融資の審査が行われます。

もしも、創業後に資金が足りなくなって申し込みをする場合は、「事業計画通りに進められていない」「売り上げが想定よりもよくない」というマイナス面が見られてしまい、審査に通りにくくなる可能性があります。

融資の振込のタイミングは?

融資の振込のタイミングですが、申し込みからお金が振り込まれるまでには、約1ヶ月かかると言われています(あくまで目安です)。

ただし、申し込みが多い時期などは、さらに時間を要することもあるため、余裕を持って、申し込みを行われておいた方が良いでしょう。

家族・知人からの借り入れ

他にも、家族や知人といった、信頼関係ができている人からの借り入れも一般的です。

日本政策金融公庫のデータでは、必要な資金の6%が、親族からの借り入れであることが示されています。

なお、家族、親族、知人から借り入れをした場合に返済が滞ると、金銭問題はもとより、それ以外のトラブルになる可能性もあります。このため、慎重に検討してください。

その他

その他、以下の融資制度や方法を使って資金を準備することもあります。

借り入れの方法
  • 自治体の制度融資
  • 信用保証協会の制度融資
  • 銀行や信用金庫の融資
  • 助成金・補助金
  • クラウドファンディング

利用できる制度や機関があれば相談に行ってみましょう。

最近では、「クラウドファンディング」と呼ばれる方法で、お店の開業資金調達を、広くインターネットで募る方法も出てきています。支援者や協力者が見込める場合は、このような方法も検討しながら、資金調達を行うことも一つです。

補足:出資による資金調達

融資以外では、出資を受けることも選択肢のひとつです。

一般的な出資は、株式会社を設立し、家族・親族・知人、個人投資家、ベンチャーキャピタルなどの出資者に株主になってもらうことで行われます。

出資は、融資とは様々な点で異なります。株式による出資の場合は、「返済が必要でない」というメリットがありますが、配当が必要になったり、株主が経営に関与することがあったりするなど、必ずしもメリットばかりとは限りません。

また、金融商品取引法等により、出資の募集には、厳しい規制があります。

このため、出資による資金調達は、融資による資金調達とは別に、慎重に検討するべき方法です。

飲食店の開業までの流れ

飲食店の開業に必要な資金が準備できたら、オープンまでにやるべきことを進めていきましょう。

飲食店開業までの流れの例は、以下です。

飲食店開業のチェックリスト
  1. 【ステップ1】コンセプト設計:12ヶ月前
  2. 【ステップ2】物件探し/物件契約:10ヶ月前
  3. 【ステップ3】事業計画/資金調達:8ヶ月前
  4. 【ステップ4】メニューの設定:7ヶ月前
  5. 【ステップ5】仕入れ業者の選定:5ヶ月前
  6. 【ステップ6】店舗内装・外装設計・施工/厨房設備購入:3ヶ月前
  7. 【ステップ7】資格取得・届出・手続き:3ヶ月前
  8. 【ステップ8】什器・備品購入:2ヶ月前
  9. 【ステップ9】オーダーシステム検討:2ヶ月前
  10. 【ステップ10】スタッフ採用・教育:1ヶ月前
  11. 【ステップ11】販促・プレオープン:2週間前
  12. 【ステップ12】開業

資金調達はステップ2としてご紹介していますが、こちらはあくまでも1つの例なので、参考にしながら進めてください。

詳細は「飲食店を開業する12の流れ・ステップ・リストをわかり易く解説」の記事でご紹介しています。

【保存版】飲食店を開業する流れを12のステップで解説!

まとめ

飲食店の開業には、1,000万円ほどの資金が必要だと言われています。ただし、お店の立地や広さ、必要な工事や厨房設備によっても大きく変動します。

自分のお店を開業するためには、いくら必要になるのかをシミュレーションし、必要な資金の準備を行いましょう。

資金調達は、「自己資金」「金融機関からの融資」「親族などから借り入れ」を組み合わせることが一般的です。

焦らずに、一つずつ計画を立てて、準備を進めていくことが重要です。