以下のような飲食店のオーナー向けに、飲食店のコンセプトの作り方を解説していきます。
- 飲食店をこれから開業する人
- 資金調達したい人
- 安定した店舗運営を行いたい人
ワークを用いて説明していくので、この記事を読みながら一緒にコンセプトを作っていきましょう!
時間がない場合は、後で読み返せるようにブックマークしておこう!
コンセプトとは?飲食店コンセプト例
そもそも、コンセプトとはどういう意味なのかを確認していきましょう。
コンセプトとは?
コンセプトとは、英語の「concept」をカタカナ読みした言葉で、「構想」や「概念」という意味です。コンセプトは「店舗のコンセプト」「事業コンセプト」という使われ方をし、それが提供する価値や理想を表すことが一般的です。
飲食店のコンセプトは、自分のお店がどんな価値、どんな理想を実現したいかを言葉にしたものなんだね!
飲食店だったとしても、人がそのお店に訪れるのは、「食べたいから」だけではありません。
- お店に行く前のワクワクした気持ち
- 美味しいものを食べている時の幸福感
- 会話を楽しむ時間
- ほっと一息つける安らぎ
- 明日もまた頑張ろうと言う気持ち
そういった体験がしたくて、飲食店に足を運びます。
これらの一連の体験の中で、あなたのお店はどんな価値を提供したいのか?それが、コンセプトになります。
飲食店のコンセプト例
例として、有名なカフェとファミレスのコンセプトをご紹介します。
スターバックスのコンセプトは、「サードプレイス」(家でも職場でもない”第3の場所”)。スターバックスはカフェですが、飲食物ではなく「場所」に価値を置いていることがわかります。
ロイヤルホストは、全国に展開するファミリーレストランです。そのコンセプトは「料理もお店づくりも“質”を大切にし、親しい人をお招きするような真心のこもったおもてなしで、地域に愛されるレストラン」。世界に羽ばたく王者という<ロイヤル>、おもてなしの<ホスト>というお店の名前にコンセプトがうまく表れています。
コンセプト、テーマ、キャッチコピーの違い
コンセプトと似たような言葉に「テーマ」や「キャッチコピー」があります。
実は、「コンセプト」「テーマ」の違いは、明確に決まっているわけではなく、使う人や使われる場面によって意味合いが異なります。
コンセプトは、先ほど説明したように、提供する価値や理想を表します。例えば、お店のコンセプト、事業のコンセプトというような使われ方をします。
テーマは、主題や特定の方向性を表します。例えば、イベントのテーマ、議論のテーマ、映画のテーマなどです。飲食店の場合は、12月のテーマは「クリスマス」にしよう、と言うように飾り付けの方向性を表す際に使うこともあります。
キャッチコピーは、コンセプトやテーマを、伝わりやすい文章や人目をひく文章にしたものです。1つのコンセプトやテーマにつき、複数のキャッチコピーを作ることもあります。
この記事では、お店づくりを、理想や構想を表すものにしたいため「お店のコンセプト」という言葉を使っていきます。
「お店のテーマ」と「お店のコンセプト」を比べると、「お店のコンセプト」の方が、理想や構想というイメージがして、しっくりくるよ!
飲食店にコンセプトを用いるメリット
飲食店でコンセプトを作るメリットを3つご紹介します。
1. 開業準備/事業計画に必須
飲食店の開業では、さまざまな決め事が必要になります。もしもコンセプトがなければ、何を軸に選べば良いのかがわからず、判断がなかなかできません。コンセプトがあれば、【コンセプトに合うかどうか】で選択をしていくことができます。
また、開業資金を調達するためには、「事業計画」が必要になります。事業計画では「なぜ創業をするのか」というコンセプトに関わる話を盛り込む必要があります。
開業準備や資金調達については「【1人で可能?】小さい飲食店の開業ノウハウ徹底解説!」の記事で詳しく説明しています。
2. 変化に対応しやすい
コンセプトがあれば、時代や流行の変化が起きた時でも「意思決定」がしやすくなります。
- テイクアウトを取り入れるべきか?
- Uber Eatsに対応すべきか?
- 写真映えを意識すべきか?
- 自動化を取り入れた方が良いか?
このような悩みが出てきた時、コンセプトに合うかどうかで判断をすれば、現在のお客様が離れていくことを防ぎながら、変化に対応していくことに繋がります。
3. 繁盛店にはコンセプトがある
繁盛店には「明確な」コンセプトがあるケースが多いです。なぜなら、コンセプトが明確であるということは、それだけお店に独自性があり、お客様に価値が伝えられているということ。
どのお店に行こうかと比較さるのではなく、「あのお店に行きたい!」と選ばれるお店づくりにつながります。
あなたが常連として通っているお店はありますか?
複数のお店があったとしても、迷わずそのお店を選ぶのだとしたら、それはコンセプトが明確なお店である可能性が高いです。
自分が、なぜそのお店に通っているのかを考えてみましょう!
- どんな期待からそのお店に行きますか?
- 内装、接客、お料理、雰囲気、それはお店のイメージに合っていますか?
- そのお店のイメージを言葉にするとなんでしょうか?
そのイメージは、そのお店のコンセプトと繋がっているのです。
コンセプトの作り方【3ステップ】
では、実際にコンセプトを作っていきましょう。3つのステップでご紹介していきます。
1. 核となる部分(WHY)を考える
コンセプト設計の中心になるのが「あなたが、なぜお店を開業するのかという理由 = WHY」です。
- お店を持つことは、あなたにとってどんな価値がありますか?
- お客様にとってはどんな価値がありますか?
そういう理想を深掘りしていき、「なぜあなたが飲食店を開くのか?」という根っこの部分を考えます。
これが、あなたのお店を花開かせるための原動力になります。ぜひ時間をとって考えてみてください!
2. 5W2Hを考える
WHYが言葉になったら、次にそれをお店の具体的な姿に落とし込んでいくステップです。
先ほどのWHYを含んだ、5W2Hからなる、7つの質問に答えていきましょう!
7つの質問【5W2H】
- WHY(なぜ):なぜあなたはお店を開きますか?
- WHO(誰に):どんな方がお客さんになりますか?
- WHAT(何を):どんなメニューを提供しますか?料金はいくらぐらいですか?
- WHERE(場所):どの場所が適していますか?
- WHEN(時間):営業時間は何時から何時までにしますか?
- HOW(どうやって):お店の雰囲気はどうしますか?どんな接客をしますか?
- HOW MUCH(費用):お店の開業にはいくらの予算をかけますか?
3. それらを言葉にする
ここまでで7つの質問に対する答えを考えてきました。最後は、これらをまとめて言葉にしていきます。
核になるのは「WHY」の部分。あなたがお店を開く理由です。
そして、残りの6つの質問の中で、特に思い入れやこだわりがあるものも重要です。
それらをまとめて言葉にしたものが、コンセプトとなります!
コンセプトを初めて作る場合は、7つの質問を作ったけれど、それをどうやって言葉にすればいいの?と迷われる場合も多いです。
そんなときには、WHYと6つの答えを組み合わせてみましょう!いくつか例を記載します。
- 【何を】を重視:心と体を満たす定食
- 【誰に】を重視:家族みんなが楽しめる食事時間
- 【何を】【どうやって】を組み合わせる:一杯のお酒と一品のおかずで、1日の終わりを幸せに
- 【誰に】【何を】【どうやって】を組み合わせる:推しとスイーツを楽しめる空間
ここでは、面白くて目立つキャッチフレーズにする必要はありません。お店づくりを考える上で、指針となるようなわかりやすい表現にすることが大事です。
コンセプト作成の注意点
コンセプトづくりの注意点をご紹介します。
5W2Hに一貫性を持たせよう
重要なことは、WHYで提供しようとしているお店の価値と、その他6つの答えのバランスが取れていることです。
例えば、近所に住む会社員の方が、仕事後の憩いとなるような居酒屋がコンセプトの場合、高額メニューや、写真映えするようなお料理は、「コンセプトからずれている」と考えられます。
お店の雰囲気やメニューとのチグハグ感があるお店がたまにあるけど、それはコンセプトがぼやけているっていうことなんだね!
実現できるかどうか確認する
コンセプトを立てても、それをお店として実現するには難しい場合があります。
例えば、ゴージャスなお店の空間を特徴にしたくても、そのための資金が調達できなければ、コンセプトが実現できなくなる可能性があります。
もし、何かが理由で実現が難しい場合は、以下のように考えてみることをお勧めします。
- 他の方法でWHYを実現できないか?
- 段階に分けて進めることはできないか?
コンセプトの実現を諦めるのではなく、他に方法がないかを模索していきましょう!
コンセプトとお店づくりが一致しているかチェックする
すでにお店を運営している場合は、コンセプトとお店が一致しているのかを確認してみましょう!その際、自分1人で確認するのではなく、一緒に働いているスタッフや、お客様から見てどうなのか?という視点でチェックすることが大切です。
コンセプトは作って終わりではありません。定期的にチェックしながら、店舗運営の指針にしていくことが大事です!
コンセプトを具体的なお店づくりに落とし込もう!
コンセプトを作ったら、次はそのコンセプトを具体的なお店づくりに反映させましょう!
具体的には、店名、内装、お料理の内容、接客スタイルなどを考えることになります。
店名
店名はお店の第一印象を作る大切な要素です。特に新しいお客様は、店名からお店のイメージを想像します。
雰囲気や単語のイメージに基づいて考えると良いでしょう。「ひらがな」「漢字」「アルファベット」のどれを使うかによって受け取る印象は異なります。
いろいろな名前のアイデアを出し、その中からコンセプトに最もマッチしたものを選びましょう。他のお店の名前をリサーチするのも参考になりますよ。
接客スタイル
接客スタイルは、お客様の評価に直接影響を与えるため、とても重要です。
お料理も価格もいいのに「接客がイマイチでお客様が嫌な思いをした…」場合、いつの間にかお客様が離れていってしまう… ということも起こり得ます。残念ながら、飲食店の口コミを見ていても、接客の悪さによって低い評価がつくことで集客に悪影響があるということはよくあります。
もし、コンセプトに合うスタッフを雇えないという場合は、セルフオーダーシステムを用いて、接客を自動化することも一つの方法です。当社の「オーダーアール」は無料で使えるセルフオーダーシステムです。ぜひお試しください。
お店の内装
お店の内装も、その飲食店のコンセプトを表します。
- 装飾はどんな雰囲気にするのか
- 照明はどれぐらいの明るさにするか
- 隣の客席とのスペースはどれぐらいにするか
これらの要素を、コンセプトに一致しているかどうかという視点で判断していくことが重要です。
お料理の味・見た目・価格
お料理の味や見た目、価格も、コンセプトに合うように考えていきます。
例えば、「お酒と一緒に楽しむお料理は、お酒に合う味付けにして、量は控えめにする」「ドリンクとフードのペアリングを楽しむカフェにしたいので、セットメニューを豊富に用意する」「毎日でもきてほしい定食屋なので、塩分は控えめにして栄養バランスを考えて、1,000円以内」など、お店のコンセプトを最もよく表したお料理を考えていきます。
まとめ
飲食店でコンセプトを作ることは、選ばれるお店として経営を安定化していく際に重要です。
5W2Hの7つの質問に答えながら、コンセプトを明確にしてお店づくりを行っていきましょう!