【保存盤】個人飲食店の売上は平均いくら?必要な利益の計算方法を解説

個人経営の飲食店を運営していると、

  • 正直、どれぐらいの売り上げが一般的?
  • 利益の計算方法がイマイチわからない…
  • もらえる年収はいくらなの?

という疑問が出てきます。

この記事では、個人で飲食店を経営しているオーナー向けに、「売上の平均」「利益、年収の計算方法」について、わかりやすく解説していきます。今日で、売上の計算の悩みは、終わらせてしまいましょう!

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個人飲食店で必要な売上は?「月平均」と「年間売上」をチェック!

個人で経営している飲食店では、どれぐらいの売り上げが一般的なのでしょうか?

さまざまな考え方や計算方法がありますが、一つの目安をご紹介します。一般的な飲食店において「働いている従業員1名」あたり、「900万円強/年」の売り上げ平均となっています。

例えば、1-2名の従業員が働いている「個人飲食店」の場合は、1000-2000万円ほどの売り上げが必要になると考えられます。

業界別経営指標
「日本政策金融公庫の2020年の調査」▲クリックすると大きくなります

こちらを参考に、目安となる売上を計算してみると……

  • 1日平均売上:約2.7万-5.5万円
  • 月平均売上:約83-167万円
  • 年間売上:約1000-2000万円

と、なります。

この売上目安、実はそんなに役立たないかも?

上に記載した売上目安金額は、休みなく営業した場合です。一つの目安にはなるかもしれませんが、実際のところ、この売上を目標にしても、飲食店の黒字経営の参考にはならないかもしれません….

 

というのも、「家賃」「仕入れ額」などの費用によっては、1人でお店を切り盛りしていて「月に100万円」の売り上げがあっても、全然利益がない…!! と言った場合もあるからです。

 

では、どうするといいのか?

それは、「売上」と同じぐらい重要な「利益」の視点も持つこと。後ほど、「利益」についても、詳しくご紹介していきます。

売上は「4つの要素」の掛け算

平均の売上がわかったところで、自分のお店の売上を確認してみましょう!

ただ売上額を確認するだけではなく、以下の公式に当てはめて考えてみるとわかりやすいです。

【売上 = 客数 × 客単価】

さらに、客数は、【客数 = 席数 × 回転率 × 客席稼働率】 で、計算します。

売上の公式

それぞれの言葉を確認していきましょう!

言葉の確認
  • 席数:お店の席数の合計。一般的な飲食店では、1坪あたり1.5-2席が多いと言われている。
  • 回転数:1日のうちで1つの席を利用するお客さまの数。ファストフード店は10回転以上、レストランやカフェでは10回転未満が多い。
  • 客席稼働率:実際に埋まっている客席の割合。4人席を2人で利用する場合もあり、一般的には70%前後と言われている。
  • 客数:1日のうちで来店したお客さまの総数。席数 × 回転率 × 客席稼働率 でおおよその数が予測できる。
  • 客単価:1人のお客さまが支払われる金額の平均。
  • 売上:1日の売上の合計金額。

自分のお店の売り上げが、どのようなバランスになっているのか、チェックしてみましょう!

もし、「平日/休日」「ランチ/ディナー」で、客数や客単価が異なる場合は、それぞれ計算してみましょう。

▼1ヶ月の売上/売上予測の計算例(26日間、昼食/夕食の営業)

席数×回転率×客席稼働率×客単価×日数 金額
昼:月-金 20席×1.2回転 × 0.7 × 1000 ×18日 302,400円
夜:月-木 20席×1回転 × 0.7 × 3500 ×14日 686,000円
昼:土日 20席×1.5回転 × 0.7 × 1300 ×8日 218,400円
夜:金-日 20席×1.1回転 × 0.7 × 4000 ×12日 739,200円
合計 1,946,000円

まずは、売上を把握するところからがスタートです!

参考:【オーナー必見】飲食店の客単価の平均はいくら?計算方法と上げ方を解説

「利益」を計算していこう!

先ほどご案内したように、飲食店の経営において「売上」と共に重要なのが「利益」です。この利益が低ければ、いくら売り上げがあっても、経営が安定しないという状況があるからです。

少し計算式が出てきますが、頑張っていきましょう!

「利益」には大きく2種類ある

実は、利益と一言で言っても、大きく分けて2種類の利益があります。

2種類の「利益」
  • 粗利益(売上総利益)売上高から、売上原価(仕入れ材料費)を引いた額。例えば、2000円の商品の材料費が500円だった場合、粗利益は1500円。ちなみに、粗利率という割合を出す場合には、「粗利」÷「売上高」×100(%)で計算する(1500÷2000×100=75%)。一般的な飲食店の粗利率の平均は65%。
  • 営業利益売上高から、売上原価と管理費などを引いた額(つまり、粗利益から、仕入れ以外にかかる費用を引いた額)。営業利益率という割合を出す場合には、「営業利益」÷「売上高」×100(%)で計算する。一般的な飲食店の営業利益率の平均は3.2%*。税引前当期純利益と自己資本 がともにプラスである企業

出典:日本政策金融公庫

利益率は、少しややこしいので、図で理解しましょう!

利益の公式

管理費などに含まれるものは?

管理費などには、仕入れ費以外に支払いが必要な「管理関係」の費用が含まれます。例えば、家賃、光熱費、消耗品費、広告費、人件費などがあります。

つまり、売上高が高くても、「売上原価(仕入れ額)」や「管理費など」が高い場合は、利益が少なくなってしまい、経営が安定して続けられなくなる可能性があります。

逆に言うと、「売上原価」や「管理費など」を抑えることができれば、売上高が比較的少なくても、問題なくお店を続けられるケースがあります。

なんであのお店、長く続けていけるんだろう?

みなさんの近所にも【あまりお客さんは入っていないけれど、長く続けている飲食店】はありませんか?

 

もしかすると、そういったお店は、「売上高」は低いけれど、「営業利益」が高い可能性があります。

 

例えば…

持ち家で家賃を払う必要がなく、昔ながらの付き合いで適正価格で仕入れが行えていて、家族経営しているので、人件費もそれほどかからない…. といったお店かもしれません。

【実際役立つ】「FL比率」と「損益分岐点」という考え方

ここまでで、「売上」と「利益」について学んできました。

たくさんの計算式が出てきて、もうお腹いっぱい……

となっている方もいらっしゃるでしょう。

ですが、ここから紹介する2つの考え方は、実践的でとっても役に立つのです。ぜひ、読み進めてみてください。

お店が儲かっているか?がわかる「FL比率」

FLコストとは、Food(材料費)とLabor(人件費)を合計した金額のこと。

FL比率とは、「FLコスト ÷ 売上高」の割合です。一般的なFL比率は、売上の6割ほどと言われています。このFL比率が少なければ少ないほど、【飲食店が儲かっている】という指標になると言われています。

 飲食店経営で最大の経費は“原価(Food)”と“人件費(Labor)”です。一般的な飲食店のFL(原価・人件費)は売上の6割程度です。

もし、6割よりも大幅にコストがかかっている場合は、材料費、もしくは人件費の見直しをしていきましょう。

黒字になるためのラインは「損益分岐点」でチェック!

誰でも一度は、「一体いくら売上があったら、利益がプラスでもマイナスでもなく、0になるのだろう?」という疑問を持ったことがあるでしょう。その売上金額のことを、損益分岐点売上高といいます。

損益分岐点売上高とは

「損益分岐点売上高」とは、利益がプラスでもマイナスでもない0(トントン)のときの売上高のことです。

わかりやすいように、図と例でご紹介します。

損益分岐点

「固定費」と「流動費」の2つの費用
  • 固定費毎月固定でかかる費用。例えば、家賃の支払い、返済費、減価償却費、固定契約のサービス費、正社員の人件費。
  • 変動費月の支出に変化があるもの。例えば、材料仕入れ費、水道光熱費、広告費、消耗品費、アルバイト・パートの人件費。
例えば、月の家賃が15万円、社員の人件費が25万円だとした場合を考えてみます。仮に、他の費用はかからないとした場合、固定費40万円になります。

あるメニュー1つを600円で販売した場合、原価が200円であれば、400円の利益になります。原価は販売量に応じて増えるので、変動費になります。

ここで出た利益の合計が、固定費を超える地点のことを「損益分岐点」と言います。

この損益分岐点は、式に当てはめて計算することができます。

損益分岐点売上高の計算式

損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ ( 1 – ( 変動費 ÷ 売上高 ))

例えば、月の固定費が40万円で、変動費が50万円、売上が100万円の飲食店の場合で計算してみましょう。

損益分岐点売上高(万円)を求める計算式は、

40 ÷ ( 1 – ( 50 ÷ 100 )) = 80(万円)です。

つまり、80万円を超えると利益が出るということなので、100万円の売上がある場合は、黒字となっています。

 

損益分岐点売上高を計算して、お店が儲かっているのかどうかを把握してみましょう!

自分がもらえる年収は?1000万円稼ぐには「売上」「利益」はいくら必要?

では、次に、飲食店のオーナーだった場合、どれぐらいの年収になるのかを考えてみましょう。

オーナーが個人事業主だった場合、利益がそのまま収入になります。

そのため、1000万円の年収が欲しい場合は、年間1000万円の利益を出す必要があります。月の利益にすると、83万円ほどです。では、83万円の利益を出そうとすると、月の売上はどのぐらいになるのでしょうか?

「売上」を調べるためには、先ほどご紹介した「営業利益率」が必要です。

ここでは、営業利益率=3.2% と仮定して、売上高を求めてみます。

「営業利益率(%) = 営業利益 / 売上高 × 100」で求められるため、計算式に当てはめると、「3.2% = 83万円 / 売上高 × 100」 となるので、売上高は、2594万円となりました。

つまり、月に2594万円の売り上げがあれば、月に83万円の利益となり、年収は1000万円近くになります。

ただし、営業利益率によって大きく異なるので、まずは自分のお店の営業利益率を求めてから、売上を計算してみましょう。

***

ちなみに、飲食店の経営を「法人」で行っている場合は、異なります。

個人事業主の場合は、「利益」を「収入」として考えますが、法人の場合は「役員報酬」として「経営者の給料」を支払うことになります。一般的に、役員報酬として経営者に給与を支払う場合は、(節税や法人の仕組みを考慮して)利益の全てを役員報酬にすることはないのでご注意ください。

【行動しよう】利益や年収をアップさせる3つのアクション

では次に、利益や年収をアップさせるために、どのような行動を取ればいいのかを、3つのアクションでご紹介します。

ポイント
  • 固定費を抑える
  • 変動費を抑える
  • 売上をアップさせる

それぞれ見ていきましょう!

1.固定費を抑える

まずは、固定費にどのようなものがあるのか。確認していきます。

先ほどご紹介しましたが、「固定費とは、毎月固定でかかる費用。例えば、家賃の支払い、返済費、減価償却費、固定契約のサービス費、正社員の人件費。」です。

固定費を減らすことができれば、グンッと利益は増えますが、固定費を減らすことはなかなか簡単にはできません。

移転をしなければいけないタイミングや、固定契約のサービスを見直す機会がある、など、固定費の見直しの機会が出てきたら、費用を抑えられないか?と考えてみるのがオススメです。

2.変動費を抑える

比較的取り組みやすいのが、変動費を抑えることです。

先ほどご紹介しましたが、「変動費とは、月の支出に変化があるもの。例えば、水道光熱費、広告費、消耗品費、アルバイト・パートの人件費」です。

最近の変動費を抑える例としては、以下のようなものが考えられます。

  • 広告費の削減例:今まで、広告や集客サイトなどの有料サービスを利用して集客してきたが、SNSやLINEなどを使って、広告費をかけない集客に取り組んでいる。
  • アルバイト・パートの人件費の削減例:人を雇う代わりに、モバイルオーダーを取り入れて、お客様に自分で注文をしてもらう。

特に、モバイルオーダーで人件費を減らす方法は、この1-2年でとても増えてきました。モバイルオーダーについては、「モバイルオーダーとは?飲食店で導入するメリット・デメリットと事例を紹介」の記事もご覧ください。

モバイルオーダーとは?飲食店で導入するメリット・デメリットと事例を紹介

3.売上をアップさせる

ページ上部で紹介した、売上の公式から、【売上アップが行えそうなポイント】を考えてみます。

  • 客数は適切か?「席数、回転率、客席稼働率」で、改善できそうな所はあるか?
  • どうすると、お客さまに喜んでもらいながら、「客単価」をアップすることができるか?

これらを改善することで、売上を伸ばしていきましょう!

【重要ポイントまとめ】売上を把握して、利益アップをしていくための方法

この記事では、個人飲食店の平均的な売上と、利益アップの方法をお伝えしてきました。

改めて、重要な点をまとめておきます。

  • お店が儲かっているかを知るためには「売上」と「利益」の2つの把握が大事。
  • 売上は、席数×回転数×客席稼働率×客単価で計算できる。
  • 利益には、「粗利益」と「営業利益」の2種類がある。
  • お店が儲かるためには、FL比率を少なくすることも大切。
  • 「損益分岐点売上高」を把握して、いくら売上を上げれば黒字になるのかを知ろう。
  • そして、「固定費」「変動費」を抑えて、「売上アップ」につながる行動を起こそう!

売上と利益を把握して、利益アップのための行動を続けていきましょう!