初めて飲食店を開業する場合、「いつまでに何をすればいいの?」という疑問が湧きます。
この記事では、約1年間かけて、飲食店の開業準備をする流れを【10ステップ】でご紹介します。
飲食店の開業は、やることが多いって聞いているよ。わかりやすい流れで教えて欲しいな!
飲食店開業の流れ【1年後に開業するためのフローチャート】
ここでは、1年後に飲食店を開業することを想定し、「いつ/何ヶ月前に」「何を」しなければいけないかの目安を、フローチャートにしました。
このフローチャートはあくまでも流れの目安です。お店によって、必要な期間や順番は変わることもあるので、一つの例としてご覧ください。
それでは、各ステップを説明していきます。
1. コンセプト設計(12ヶ月前)
飲食店の生存率は2年で50%とも言われています。大変な準備をして開業に至ったとしても、実に半数が閉店を余儀なくされています。逆に考えると、さまざまな飲食店がオープンする中で、半数は開業から2年以降もお店を継続しているということです。
2年以降もお店が継続できる理由はさまざまですが、その一つとして、お店のコンセプトがしっかりあり、信念を持って自分のお店を運営している、ということが挙げられます。
長く続けるには、愛着を持てるお店のコンセプトが大事なんだね!
コンセプトの設計において、最も重要なのが「なぜお店を開業するのか」というお店を開業する理由(=WHY)です。
「あなたは何のために飲食店を開きますか?」
たくさんの飲食店がある中で、なぜ飲食店を開業しようとしているのでしょうか?その理由を深掘りして言葉にすることで、お店の指針ができます。
- 「美味しい」という驚きで、毎日を楽しくしたい
- 地域のみんなに、健康的な生活を送ってほしい
- 忙しい都会で、小さな安らぎを提供したい
このように、自分がしっくりくる飲食店を開く目的を言葉にしていきます。
WHYを実現するための6つの質問
お店を開業する理由(=WHY)が言葉になったら、WHYを叶えるための具体的なお店のイメージを固めていきます。
以下の内容を考えてみましょう。
ポイントWHYを実現するための6つの質問
- WHO(誰に):どんな方がお客さんになりますか?
- WHAT(何を):どんなメニューを提供しますか?料金はいくらぐらいですか?
- WHERE(場所):どの場所が適していますか?
- WHEN(時間):営業時間は何時から何時までにしますか?
- HOW(どうやって):お店の雰囲気はどうしますか?どんな接客をしますか?
- HOW MUCH(費用):お店の開業にはいくらの予算をかけますか?
【WHYとWHYを実現するための6つのこと】をまとめたものが、お店のコンセプトとなります。
お店のコンセプトをぼんやりと考えていたけど、こんなに具体的に考える必要があったんだね!
2. 物件探し/物件契約(10ヶ月前)
次に、物件探し・物件契約を進めていきましょう。
「飲食店は立地がすべて」という言葉もあるくらい、店舗の立地は、とても重要です。
物件は、以下の4点をふまえて探していきます。
飲食店の物件探しのポイント
- 立地が適切か?
- お店は見つけやすいか?
- コンセプトに合った物件か?
- 予算内に収まるか?
ネットを利用して賃料の相場に当たりをつけ、自分の足で探しつつ、不動産屋も活用しながら見つけていきましょう!
たくさんの物件を見るうちに、物件を見る目が養われます。
好物件を見つけるために、地道にがんばるぞ!
物件の選び方については「飲食店の店舗物件の探し方のコツは?居抜き・スケルトンの選び方も解説」で詳しくご紹介しています。
3. 事業計画/資金調達(9ヶ月前)
次に、事業計画と資金調達を行います。
飲食店の開業資金はいくら必要?
飲食店の開業にかかる費用は、1,000万円前後と言われています。
飲食店開業にかかる費用の内訳
-
- 物件の取得費(補償金・敷金・礼金・保証金など)
- 内装・外装工事、厨房設備費
- 什器・備品、オーダーシステム
- (賃貸物件の場合)物件の賃料・家賃
- 運転資金
この中で、主に「1. 物件の取得費」「2. 内装・外装工事、厨房設備費」が費用の大きな部分を占めます。ということは、お店の立地、お店の広さ、居抜き物件かどうかによって、費用は大きく変わります。
最近では、小さな店舗も増えてきました。オーナー1人で運営するお店や、持ち帰り専門店なども珍しくありません。その場合、飲食店開業にかかる費用はもっと抑えられる場合もあります。
そうだよね。お店の立地と広さによって、費用は大きく変わるよね。自分のお店の賃料からすると、予算はどれぐらいになるかな?計算してみよう!
自己資金と融資を組み合わせよう!
開業資金は、自己資金と融資を組み合わせることが一般的です。
- 自己資金は、自分の貯金などを用いる方法
- 融資は、金融機関などから借入を行う方法
融資は誰でも受けられるわけではありません。「お店が売上を上げて、借りたお金を返していけるか?」が審査され、審査を通った方が融資を受けられます。
審査に必要なのが「事業計画」です。事業計画は、「事業計画書」や「創業計画書」として、融資を受けたい金融機関などに提出します。
事業計画を、資料として提出するんだね〜。
融資を受ける先の担当者に納得してもらえるように、しっかりと事業計画を作成していきます。
開業資金については、「飲食店の開業に必要な資金と準備・調達方法をわかりやすく解説」で詳しくご紹介しています。
4. メニュー設定(8ヶ月前)
次は、メニューの設定です。
メインメニューは、コンセプト設計の段階で考えているかと思いますが、ここでは、メインメニュー以外にも、提供するメニューの全体の設定を行います。
メニューは厨房設備にも関係してきますので、場合によっては、【ステップ3】の物件を探す段階よりも前にメニューを決めておく必要があるかもしれません。
確かに、「カフェメニュー」の場合と「ディナー用のお食事メニュー」だと、厨房の設備が異なるよね。
次のステップ「仕入業者の選定」を行うためにも、どんな食材や商品を扱うのか、おおよそのメニュー設定をこの段階で行います。
5. 仕入れ業者の選定(6ヶ月前)
メニューが決まれば、次に仕入業者の選定を行います。
仕入れ先には、以下のような選択肢が考えられます。
飲食店の仕入れ先の例
- 近隣の小売店(商店・スーパー)
- ネット・通販サイト
- 卸売業者
- 生産者
これらの仕入業者には、それぞれメリット・デメリットがあります。お店のコンセプトや価格に合わせて、仕入れ先の選定や交渉を行いましょう!
材料にこだわりたいから、しっかりと仕入れ先を選んでいきたいな!
6. 内装検討/店舗工事/厨房設備(6ヶ月前)
次に、店舗の内装検討/店舗工事/厨房設備の購入に移ります。
まずは、どのような店舗の内装にするのか、コンセプトをもとにイメージを膨らませて、内装を検討します。
次に、設計業者(建築事務所等)・施工会社(建設業者等)の実績などを確認して、施工会社をリストアップしていきます。
お店のコンセプトを伝え、コンセプトを実現してくれる会社を選びましょう!特に、内装工事に関しては、飲食店の内装工事を専門としている施工会社を選ぶのもよいでしょう。
ちゃんとこちらのイメージを実現してくれる業者を選びたい!
着工前に、保健所に相談しよう!
ステップ7で説明しますが、飲食店の開業には「飲食店営業許可」が必要です。
「営業許可」の取得には、保健所の担当者が店舗・施設を訪れ、「施設要件を満たしているか」を確認します。施設要件が満たされていないと、営業許可が得られず、お店をオープンすることができません。
店舗の工事が終わってから、「施設要件を満たしていない」となってしまうと、手間や費用がかかってしまいます。そのため、着工する前に、図面などを保健所に持参して、施設や設備が検査基準を満たしているのか、事前相談しておきましょう!
7. 資格取得・届出・手続き(3ヶ月前)
飲食店の開業に必要な資格の取得や各種届け出を行っていきましょう。
飲食店の開業には、3つの資格と届出が必要です!
- 食品衛生責任者
- 防火管理者
- 飲食店営業許可
資格の取得や届出には、講習への参加が必要になる場合もあり、ある程度時間がかかります。余裕をもって手続きを行いましょう。
詳細は、「飲食店の開業に必要な資格や届出をわかりやすく解説」の記事でご確認ください。
8. 什器・備品購入(3ヶ月前)
店内の内装が整った後に、店内で使用する食器や調理道具、テーブルや椅子などを用意していきます。
什器・備品は、新品や中古を購入する場合が多いですが、一部の高価な什器に関しては、リースをすることで初期費用を抑えて用意できます。
コンセプトに合ったもの、予算に合ったものを選んでいきましょう!
9. スタッフ採用・システム導入(2ヶ月前)
次に、スタッフ採用とシステム導入です。
昨今、飲食店のスタッフの採用は、非常に難しくなってきています。スタッフが簡単には見つからない可能性もあるため、スタッフ募集を早めに行う必要があるかもしれません。
そうそう。飲食業界は、どこも人手不足だよ…
もしもスタッフが思うように見つからない場合は、スタッフの数が少なくても、運用ができるように、システム導入を行うのも一つの方法です。
導入するシステムの例としては、
- POSレジ
- セルフオーダーシステム
などがあります。
昨今では、お客さまが自分でスマホから注文を行う、セルフオーダーシステムの導入が増えてきました。
スタッフが注文取りを行う必要がないため、「人件費の削減」や「人手不足の対策」になります。
当社が提供する「オーダーアール」も、セルフオーダーシステムです。無料プランもあるので、ぜひ一度お試しください。
10. 販促・プレオープン(1ヶ月前)
オペレーションの仕組みが整えば、いよいよオープン間近です!
チラシを用意したり、Webサイト、Googleビジネスプロフィール(Google Map)、SNSなどを活用して告知を行っていきましょう。プレオープンでは、知り合いなどに来てもらい、SNSでの拡散に協力してもらうと良いでしょう。
プレオープンで明らかになったオペレーション不足を補うなど、開業の最終調整を行います。
そして、開業!
プレオープンが終われば、いよいよ開業です!
【ステップ1】コンセプトの設計方法で言葉にしたWHY、「あなたは何のために飲食店を開きますか?」を忘れずに、店舗を営業していきましょう。
まとめ
約1年間かけて、開業までの準備の流れを10のステップでご紹介してきました。今回ご紹介したものは、あくまでも1つの例です。
さまざまな飲食店の形態が考えられるので、この記事の内容を参考に、自分のお店に必要な準備を計画的に行うことが重要です。
まずはコンセプト設計からです。しっかりと飲食店を開業する理由を言葉にして、理想のお店を実現し、安定した営業を行っていきましょう!