お店の売上の把握や、経営の安定化に取り組もうとすると、
- お店の客単価はどう計算したらいいの?
- 客単価は平均どれぐらいだろうか…
- 客単価を上げるには何から取り組むべき?
という疑問や悩みが出てきます。
この記事では、飲食店のオーナー様向けに、「客単価の目安」「計算方法」「客単価を上げる方法」について、解説していきます。
客単価とは?計算方法を確認
客単価とは、「お客様1人が、1回の来店で支払う平均の金額」です。
客単価の計算は、以下です。
客単価の計算式
- 客単価 = 売上 ÷ 客数
例で考えてみましょう!
「月の売上」が100万円で、「のべ客数」が250人だとすると、客単価は【100万円 ÷ 250人 = 4,000円】となります。
ちなみに….
一般的に、ランチの時間帯はディナーよりも客単価が下がる傾向にあります。ですので、客単価を計算する際は、ランチとディナーの割合も合わせて考えると、売上の傾向が把握しやすくなります。
客単価を知る3つのメリット
なぜ、客単価を知ると良いのでしょうか? 3つメリットをご紹介します。
【1】売上の構成比がわかる
1つ目は、売上の構成比が把握しやすいことです。
先述した通り、売上は「客数」×「客単価」で計算します。
仮に、月100万円という売上だったとしても、
- 250人 × 4,000円
- 500人 × 2,000円
では、売上の内訳は大きく異なります。
「客単価」を知ることは、売上の構成を理解するのに欠かせません。
【2】売上の改善点がわかる
売上の構成比がわかると、売上を伸ばす際の「改善点」も見えてきます。
売上の伸ばし方は、大きく分けて「客数を増やす」「客単価を上げる」の2つです。「売上の構成比」がわかれば、どちらの改善点が良いのかの目安になります。
- 「客数が少ない」と判断すれば、「客数を上げる」改善策を取る
- 「客単価が低い」と判断すれば、「客単価を上げる」改善策を取る
となります。
「客数が少ない」か、「客単価が低い」かの判断は、お店のコンセプトや客層からの総合的な判断が必要です。
売上を伸ばすためには、「客単価」だけではなく、「客数」も重要になることは、頭の片隅に留めておいてください。
月100万円の売上で、客数が「500人」・客単価が「2,000円」の場合、客数を増やすよりも、客単価を上げる施策が良いと考え、メニューにオプションを追加して、売上アップにつなげた。
【3】お客様の期待とのギャップがわかる
「客単価」を知ることは、お客様の期待とのギャップの把握にも役立ちます。
もしも、「お客様の期待」と「客単価」に開きがあった場合、リピート率が下がってしまい、中長期的には客数の減少、売上の減少につながる可能性が出てきてしまいます。
お店のコンセプトは、「仕事終わりに、軽く一杯。平日夜の小さな楽しみ」。仕事終わりの会社員がメインの客層で、常連客がお店の売上には重要。
客単価が「2,600円」だったが、料理を値上げして客単価「3,300円」になった。一時的に売上は上がったが、半年後には常連客の来店頻度が減って、売り上げが微減してしまった。
仲の良い常連さんに聞いてみると、「日常使いには少し高くなってしまい、足が遠のいた」と言われた。
このように、「お店のコンセプトやお客様の期待値」と、「客単価」のバランスが取れているのかどうかは、中長期的な売上に影響してきます。差が開きすぎないように調整が必要です。
客単価の平均はいくら?目安はあるの?
自分のお店の客単価が出せたところで、「客単価の平均値はいくら?」と思われる方がいらっしゃるかもしれません。
残念ながら、目安にできそうな「平均の客単価」の公的な調査はありません。
当メディアが調べた限りでは、JF外食産業市場動向調査(平成20年)とJF経営動向調査(平成21年)で、「平均客単価はファーストフード652円、ファミリーレストラ ン1,058円、パブ/居酒屋2,283円、 ディナーレストラン3,201円、喫茶413円。」となっていました。
2008年・2009年と、かなり前のデータなので、参考にならないのが残念です。
また、飲食店の客単価は、ジャンルや立地、コンセプトなどによっても、大きく異なってきます。
では、客単価の目安はどう考えればいいのでしょうか?
それは、「理想のオーダー内容」から計算みることをお勧めします。2つの方法が考えられます。
- 実際のお客様のオーダー内容から考える
- お店のオススメのオーダー内容から考える
1つ目は、実際のお客様のオーダー内容を基本に、どのようなオーダーが多いのかを計算してみます。例えば、「ドリンクは2杯、お通しに、お料理が2品、デザートで、合計で3,000円」という風に、オーダー内容からよく出るメニューの組み合わせを計算していきます。
2つ目は、お店のコンセプトと客層を踏まえて、お店としてはどんなメニュー構成で頼んで欲しいかを考えます。「ドリンクは2杯、お通しに、お料理はお勧めを1品と、定番1品。デザートを頼んで、合計で3,300円」という風に、計算します。
このように2つの視点で客単価を計算して、バランスをとった金額を、自分のお店の客単価の目安としてみましょう。
知っておきたい!客単価を上げる方法
ここからは、客単価を上げる方法についてご紹介します。
大きく2つの取り組み方があります。
- 【A】価格を上げる
- 【B】注文数を増やす
それぞれ見ていきましょう。
【A】 価格を上げる
客単価を上げる1つ目は「価格上げる」ことです。
ですが、単純に現在のメニューの価格を上げるだけでは、お客さまにとってはマイナスの印象を持たれてしまいます。
そのため、価格の上げ方には工夫が求められます。
例えば…
- 単価の高いメニューを用意する(例:こだわりの逸品)
- 特定の日・時間のみ、価格を上げる
2つ目の「特定の日・時間は、価格を上げる」という方法は、ダイナミックプライシングと呼ばれています。
例えば、
- 土日は、平日のランチメニューに比べて値段を高く設定する
- ゴールデンウィークや、クリスマスなどのイベント日は、通常よりも値段を高くする
ダイナミックプライシングについては、以下の記事も参考にしてください。
【B】注文数を増やす
次は、注文数を増やす取り組みです。4つの方法をご紹介します。
①提案力を付ける
まずは、提案力。
「頼む予定じゃなかったけど、店員さんにオススメしてもらったので注文した」
という状況は、皆さんご経験があるのではないでしょうか。
提案力があるお店は、単価が上がるだけでなく、お客様の満足度も上がりやすいです。
いくつか、提案のパターンを用意しておくと良いでしょう!
- 【当店オリジナル×トッピング】カレーのおすすめトッピングは「こだわりの半熟卵」です。当店オリジナルのスパイスに漬け込んでいるので、カレーととっても合いますよ。いかがですか?
- 【一番人気 ×トッピング】このオムライスには、チーズトッピングが「一番人気」です。コクが出て美味しいですよ。よければいかがですか?
- 【すぐに出る × 前菜】ご注文いただいたお料理は、少しお時間をいただくので、すぐにご用意できるサラダはいかがですか?
- 【本日のおすすめ × オプション】今日は新鮮な鯛が入りました。よければ、オプションで刺身の盛り合わせに、数切れお付けできますが、いかがですか?
- 【旬のメニュー × デザート】季節の特別デザートとして、桜のミニパフェをご用意しています。この時期しかお出ししていない自信作なので、よければいかがですか?
②注文しやすいメニュー表を作る
スタッフの提案力も重要ですが、メニューを見るだけで、注文の品数が増えるのであれば、取り組む価値はあります。
そうなるために、メニューをわかりやすいデザインにしましょう。また、本日のおすすめなどを、見やすい場所に書いておくことも大切です。
当社の「オーダーアール」は、店内のモバイルオーダーができる仕組み。お客様のスマホでQRを読み込んで、デジタルメニューをスマホで閲覧し、そのまま自分で注文してもらえます。
オーダーアールを導入したお店では、メニュー表が「デジタル」になったことで、今まであまり出なかった単価の高いメニューが注文されたり、オプションの注文が増えたりと、客単価アップに繋がりました。
デジタルメニューを使うことで、客単価が向上したお客様事例は、以下でご紹介しています。
③オプション/トッピングを用意する
注文数を増やすためには、「オプション」や「トッピング」の充実をおすすめします。
オプションやトッピングを用意することで、注文数が増えて客単価の向上につなげられます。
まずは、定番で注文されるメニューに追加できそうな「オプション」や「トッピング」を考えてみましょう。
複数のオプションやトッピングがある場合は、お客様が迷ってしまい「注文しない」という選択になってしまうことも。
そんな時は「一番人気」や「当店イチオシ」など、迷った場合にはコレ!という選択肢を提示すると良いですよ。
④デザートメニューを充実させる
お店によっては、デザートメニューを充実させることも一つの手です。
デザートは好みも別れますし、複数人できていた場合、デザートを1人1つ頼む場合もあれば、シェアする場合なども考えられます。
お料理を食べた後、どのようなデザートがあれば、お客さまは頼みたくなるのかをイメージしてみましょう。
その際、「種類」「量」「1人用/シェア用」「食後ドリンクとのマッチング」などの視点で考えてみましょう。
客単価を上げる際の3つの注意点
ここまで、客単価を上げる方法をお伝えしてきましたが、最後に客単価を上げる際の3つの注意点をご紹介します。
この3つが守られているのかを再確認してみてくださいね。
【1】中長期的に売上がプラスになるか
客単価を上げる施策は、中長期的に売上に貢献するでしょうか?
例えば、「とても人気のピザ屋。回転率が高いので、少し並べば美味しいピザが食べられる」というお店の場合、デザートを充実させる施策は、滞在時間が長くなり回転率が低下して、売上が下がってしまった… という逆効果もあり得ます。
行おうとしている施策は、
- 「客数」や「リピート率」など、売上を構成する他の要素とバッティングしないでしょうか?
総合的な視点で、施策を判断することは必須です。
【2】スタッフの提案はお客様にとって心地よいか
提案力を身につけることは、注文数を増やすために重要だとお伝えいたしました。
ただし、スタッフが提案する際に、お客さまにとって心地よい提案なのかどうかは重要です。もしも、お客さまにとって「押し付け」に感じてしまうと、雰囲気の悪さにつながってしまう場合もあります。
- 提案は、さりげなく
- 断られても笑顔で対応する
など、「お客さまにとって心地よい接客」は忘れないようにしましょう。
【3】お客様の来店頻度に影響しないか
客単価をアップすると、それだけお客さまが支払う金額が増えます。
そうすると、お客様の来店頻度に影響が生じる可能性があります。
冒頭でも例に出しましたが、「日常使いの居酒屋」で、客単価を無闇に上げると「ちょっとお高めの居酒屋」になってしまい、来店頻度が低下して、長い目で見ると、売上に悪い影響が出ることもあります。
来店頻度に影響しない範囲の客単価のアップなのかは、意識しておきましょう。
まとめ
客単価について、重要なポイントをおさらいしましょう!
客単価の計算
- 客単価 = 売上 ÷ 客数
客単価を知る3つのメリット
- 売上の構成比がわかる
- 売上の改善点がわかる
- お客様の期待とのギャップがわかる
客単価の目安の考え方
- 実際のお客様のオーダー内容をベースに考える
- お店のおすすめのオーダー内容から考える
客単価を上げる方法
- 価格を上げる
- 注文数を増やす
- 提案力をつける
- 注文しやすいメニュー表を作る
- オプション/トッピングを用意する
- デザートメニューを充実させる
客単価を上げる際の3つの注意点
- 中長期的に売上がプラスになるか
- 提案はお客様にとって心地が良いか
- 来店頻度に影響しないか
これらを踏まえて、お店も嬉しくお客様にも喜ばれる、客単価向上の施策を試してみてください!